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タッチとの出会い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タッチ』は、あだち充作の野球漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)に1981年~1986年まで連載。アニメ化もされ、実写映画化もされた、あだち充の代表作。単行本全26巻、ワイド版全11巻、文庫版全14巻、完全版全12巻。単行本の総売上は1億部を超えており、あだち充の全作品の半分以上を占める売上である。高橋留美子の『うる星やつら』とともに1980年代前半の『週刊少年サンデー』の看板作となった。

第28回(昭和57年度)小学館漫画賞受賞。

上杉達也上杉和也は一卵性双生児。スポーツも勉強も出来る弟の和也に対して、何事にもちゃらんぽらんな兄の達也。そして隣に住む同い年の浅倉南。3人は同じ中学・高校へ進む。『甲子園に連れて行って』という南の夢を叶えようと1年生でありながら野球部のエースとして活躍する和也だったが、地区予選決勝の朝に事故で亡くなる。そして達也は和也の夢を継ぐ。南の夢を叶えるという夢を。

高校野球と恋愛の2本を軸にしたストーリー展開で、性別や年齢層を問わず人気がある。分野は野球漫画だが、野球の経験がない人間にも受け入れられるのは、普遍的なテーマ性が作品全体に表れており、これは本作より先に『少年サンデー増刊』で連載して好評を得ていた『ナイン』の路線を踏襲したものである。

それまでは原作者を立てたり、隔週連載だったあだち充にとって本作が初のオリジナルの週刊連載。タイトルのタッチはバトンタッチの意味が込められて、弟の夢を兄が受け継いでいくことを表わしている。この死者が生者を呪縛するテーマをもって漫画評論家の夏目房之介は、ラブコメの名作と評する一方で、『あしたのジョー』『エースをねらえ!』と連なる作品と位置付けた。この賢弟愚兄の設定は、あだち充と兄の漫画家のあだち勉の関係の反映という見方も存在する。バトンタッチ劇となる7巻までは連載当初から構想したもので、以後はストーリー展開が重くなるのをなるべく軽妙にしようとあだちが参考にしたのはテレビドラマ『池中玄太80キロ』であったという。

また途中時々出てくる「達也の悪夢」弟との比較がさまざまな形で出てくる夢が、 約束でもあり超えるべき壁だった甲子園出場を果たしてからは一切出てこないなど長期連載中にひそかに張られた伏線とその解消がある。 終盤、柏葉英二郎監督代行とその兄、柏葉栄一郎との気持ちの交錯も この作品を盛り上げている。

1970年代まで主流だった野球漫画のスポーツ根性ものの定石を否定、あるいはパロディ化するような面も見られる。たとえば、達也が甲子園出場間際に強豪ライバルとおぼしき面々が一堂に会して名乗りを上げるシーンがある。これは野球漫画のみならずスポーツ漫画によくあるシーンであるが、本作では「覚えきれない」としてこれらの面々がそれ以後描かれず切り捨てられている。甲子園で試合しているシーンも一切無い。また、最終回でライバルから再戦を要求されると達也は「疲れるから」と一蹴した。あだち自身も多く手がけた、『巨人の星』以降の梶原一騎的なスポ根熱血路線の野球漫画の世界を終焉させた作品という漫画史上の評価がある。

高校野球を題材にした恋愛漫画では、主である野球少年に対し常にマネージャーや観客としてヒロインは従の関係だったが、新体操のアイドルとしてヒロインを野球とは別の分野で大きく活躍させた点もそれまでに無いものであった。

また、後述の通りテレビアニメ化されて好評を得、本放送終了後も再放送が繰り返されているほか、劇場用アニメ、実写のテレビドラマや映画も制作されている。

1985年3月24日から1987年3月22日までフジテレビ系列にて放映。全101話。

旭通信社(現・ADK)が長く担当して来たフジテレビの日曜日19時の枠は、1982年の『さすがの猿飛』(土田プロ)、1984年の『Gu-Guガンモ』(東映動画)と、小学館の週刊少年サンデー系の漫画を原作とする企画ラインが続き、本作もその延長上にある。企画を立てた旭通信社の片岡義朗プロデューサーは「キャラクター商品が売りづらい」と反対の声を押し切ってアニメ化を実現。

制作にあたり、1983年から1984年にかけて放映され、好評を得たあだち充原作のスペシャルアニメ『ナイン』3部作を担当した杉井ギサブロー、前田実といったクリエイターによりスタッフを編成し、東宝とグループ・タックが製作会社となっている。1985年12月22日放送で31.9%の視聴率をあげたのを始め、常に視聴率20%以上を稼ぐ人気番組となり、裏番組だった「アップダウンクイズ」(毎日放送制作・TBS系)と「びっくり日本新記録」(よみうりテレビ制作・日本テレビ系)、更には「世界一周双六ゲーム」(朝日放送制作・テレビ朝日系)を終了に追い込んだ。また、劇場アニメ映画が3作が製作された。

後番組は同じ布陣によるあだち充作品のアニメ化『陽あたり良好!』が放映されている。

人気のみならず、質の面でも評価を受け、アニメ業界関係者によって選考される日本アニメ大賞・アトム賞を受賞。背景美術を担当して作品を支えた小林七郎美術監督も本作により美術部門最優秀賞を獲得した。

本放送終了後、フジテレビが再放送権を喪失してからは、日本テレビにて再放送が度々放送されている(2006年は放送なし。2007年も放送予定が今のところないが、日テレではないものの後述する劇場版3部作が7月23日~25日にNHK-BS2で「夏休みアニメスペシャル」の枠として放送された。)。再放送は、夏休み期間の40日内の平日の午前中(多くの場合10:25~11:20)。最初の夏休みが1部と2部、次の夏休みが3部と4部。これを繰り返していた(これは作品のテーマでもある全国高校野球選手権大会の期間に一致)。また、日テレ系列で再放送される際は放送時間の長さの関係でオープニングは短くエンディングは放送されない事が多かった。なお、フジテレビは再放送を行っていないが、系列局の関西テレビは近年再放送を行っている。CSではキッズステーションが長年放映権を取得している。

地道な再放送の甲斐あって『タッチ』を自分たちのものにしていった日本テレビは、1998年12月11日に『タッチ Miss Lonely Yesterday あれから君は…』、2001年2月9日に『タッチ CROSS ROAD~風のゆくえ~』を制作(いずれも『金曜ロードショー』枠で放送)。原作にないオリジナルの続編(作者のあだち充は原案者として)で、前者は大学に進学した達也と南を主軸とした物語、後者は「和也を知らない世界」での達也自身としての野球を目指して渡米し、独立系マイナーリーグチームで投げる達也を主軸とした物語であるが、とくに後者は野茂英雄のメジャーリーグでの活躍が影響して作られたとも言える。そして2005年公開の実写映画版の制作委員会にも当然日本テレビが名を連ねている。また、噂の域を出ないものではあるが、日本テレビでの新作アニメシリーズ化というものも何度か囁かれている。

余談だが、同じ原作者による作品『みゆき』『陽あたり良好!』もフジテレビで本放送された後、日本テレビにて再放送が行われたことがある。また、和也が死んだ際には、スタッフで和也の告別式が行われ、和也役の難波圭一が弔辞を担当した。

原作との相違点

  • 主役が達也→南に変更。
  • 達也の甲子園出場年次が原作時3年→映画版2年。
  • 和也は、スライダーも投げていた。
  • 明青学園は原作では東東京地区であったが、映画版では西東京地区。ただし、神宮球場まで試合中に家を出て駆けつけられるので、多摩方面ではない。
  • 柏葉監督が登場しない。
  • 西村勇が登場しない。
  • 新田の妹(由加)が登場しない。
  • 佐々木が登場しない。そのため、対戦相手データ収集は南が行なったことになっている。
  • 原作では連載開始時から既に他界していた南の母が登場。
  • 達也が少年時に野球経験あり。
  • 南が野球部に正式に退部届けを提出した。
  • 応援席で原田の隣にいるのが南でなく、ソノコという新登場人物。
  • 明青学園 - 須見工の決勝戦で、先攻後攻が逆(明青学園が後攻)。そのため、最後の新田との対戦がホームランでサヨナラになるようなピンチではなくなっている。
  • 須見工のユニフォームが無地ではなく、縦縞になっている。また、ロゴもローマ字から漢字の縦書きに替わっている。
  • 新田が左バッターになっている(右投左打)。そのため、最後のシーンではショートがサードではなくセカンドのほうに寄るよう松平から指示が出ている。
  • 明青の制服がグレーのブレザーになっている(漫画では黒のシンプルな学ラン)。
  • 地区大会決勝の須見工戦での達也のホームスチールが単独ではなく一塁三塁の場面であり、さらにアウトになる。
  • 西尾監督のキャラが大きく違い、また娘の佐知子も登場しない。
  • 南が新体操部員ではないため、レオタード姿も無し。
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